この記事を書いている時点では、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の真っただ中!不要不急の外出を控えなければならない状況ではありますが、平時でもコンスタントにライブをしたりギター教室に通ったりするのは、時間・場所・気持ち・お金などの問題で中々難しいこともあるかと思います。
人前で弾くのが上達の近道なのは間違いありませんが、それができなくても本番に強くなるには・・?
今回は、自宅でできる練習方法の工夫をご紹介したいと思います
環境のパラメータを変更する
得てして、ライブやレコーディングなどの本番は、練習の時とは環境が異なるので、練習の成果が100%発揮できることはありません。
どんな状況でも少しでも良いプレイができるようになるには・・本番となるべく同じ環境を再現して練習すれば良いはず!
と言っても、本番と全く同じ環境にすることは不可能なので、「環境のパラメータ」として様々な項目に細分化して考えてみたいと思います。
パラメータとは、ゲームキャラの「ちから」「すばやさ」「かしこさ」などの数値と同じものです。
それらの組み合わせによって、全く違ったキャラクターを表すことができます。
演奏環境に置き換えると、次のようなパラメータが浮かびます。
- お客さんなどの人【いない⇔少ない⇔多い】
- 気温【低い⇔高い】
- 明るさ【暗い⇔明るい】
- 衣装【きつい⇔ゆるい】
- 履物【素足⇔底が薄い⇔厚い】
- モニターの音【小さい⇔大きい】
それぞれを具体的に見ていきましょう。
お客さんなどの人【いない⇔少ない⇔多い】
もっともパフォーマンスに影響があるパラメータが、この「人」ではないでしょうか。
練習は普通1人でやりますが、本番では必ず聴いてくれる人がいます。
1人で録音したり、動画サイトにアップするために録画してる場合は誰もいませんが・・時間差で誰かに聴いてもらうという点ではやはり共通しています!
たくさんの人がいる状態を練習の時に作るのは至難(それができるならむしろ本番・・)ですが、1人であれば比較的簡単に実現できます。
練習部屋を出て家族の前で弾いてみたり、友達が来ているときにギターを披露してみてはいかがでしょうか?
聴いている方は軽い気持ちでも、弾いている方は案外プレッシャーを感じます。
このパラメータは0から1になるときに一気に本番の環境に近づいて、後はなだらかになっていく(人数と本番の再現度が単純な比例でない)イメージです。
近くに1人でも聴いてくれる人がいれば、ぜひ挑戦してみて下さい!
気温【低い⇔高い】
ギタリストにとって、最も苦手な季節は冬ではないでしょうか。
手が冷えた状態だと思った通りに指が動いてくれないため、頭に思い描いている演奏ができず、かなりのストレスになります。
本番前は快適な室温の控室でギターを弾きながらウォーミングアップができる・・そんな状況はレアケースでしょう。
カイロを使うことも考えられますが、意外と手の芯まで温かくするのは大変です。
そこで、冬場に練習するときに敢えて暖房器具を使わない環境で弾いてみましょう!
普段はギリギリ弾けていたフレーズも一気に弾けなくなり、まだ練習が必要な部分が顕在化します。
ただし、いきなり激しく弾くと手を痛めることがあるので、くれぐれも無理はしないで下さい。。
逆に考えると、本番のセットリストを穏やかで弾きやすい曲から始めるのも一つの手かもしれません。
夏場の室内はエアコンがかかっていることが多いので、逆に手が冷える問題の方が深刻な場合があります。
意外と暑い側に環境が変わるのが、スポットライトが当たるステージです。
手や身体が汗ばんできて、ひどい時には楽器にポタポタ滴り落ちる状態になります。
バンドでギターを弾く方はリストバンドをしたりして対策されていますが、1人でじっと弾いているだけでも案外汗は出てくるものです。
夏場にエアコンをかけずに練習してみて下さい!
弦は錆びやすくなりますが、力が入りすぎていたフレーズで滑って弾けないなど、色々と発見があります。
こちらは、熱中症には注意して下さいね
明るさ【暗い⇔明るい】
ステージが暗転したり照明がまぶしすぎたりして、ギターが見えないことがたまにあります。
練習の時は、ほぼ100%明るい状態だと思うので、これも本番の状況に近づけてみましょう。
単純に、カーテンを閉めて蛍光灯の明かりを落とすだけなので、超簡単です!
目を閉じて弾くというのも手です。
この場合は見えない時の練習になるだけでなく、ギターに感情をこめているように見えるため、パフォーマンスとしても有効ですし、五感の1つを遮ることにより、より一層音に集中できるという効果もあります。
短時間でも指板を見ずに弾けると、視線をお客さんの方に向けたりする余裕もできるので、ぜひ試してみて下さい!
衣装【きつい⇔ゆるい】
練習の時はリラックスした服装の方が多いと思いますが、本番では外着やステージ衣装となります。
良く起こるのは、タイトなシャツを着た時に右ひじ辺りが突っ張って、ピッキングの自由がきかなくなること。。
ステージで着るのが初めての衣装は、一度ドレスリハーサル的に自宅で着て練習すると良いでしょう。
本番でいざ弾こうとした時に思ったように腕が動かないのは、思ったよりも焦ります。
その他、ヒラヒラ?がついた衣装は、弦をミュートしてしまう事件が発生する可能性があるので、ご注意下さい!
履物【素足⇔底が薄い⇔厚い】
これはエフェクターの踏み心地に、かなり影響があるパラメータです。
このブログを読んでくださっている方は、室内は土足でない方がほとんどだと思います!
しかし、土禁の場所でライブをすることはまれで、大抵は靴を履いているはずです。
特に底の分厚い靴の場合に、エフェクターのスイッチングの操作は難しくなります。
靴下を履いているくらいだと足の指先でチョコっと踏めますが、それとは全く違った大ぶりな動きが求められるのです。
簡単に靴を履いた環境を再現するには、スリッパが効果的です。
比較的、靴で踏んだ時と同じ足の動きになりますし、エフェクターもあまり汚れないので一石二鳥です!
万全を期すのであれば、新聞紙などを床に弾いて、実際に本番で履く予定の靴で練習します!
ただ少し手間がかかりますし、家族から少し変な目で見られるかもしれません
モニターの音【小さい⇔大きい】
特にバンドでギターをプレイする時に、自分の音(返し)がほしいボリュームに比べて小さいことがあります。
他の楽器と調整したり、PAさんがいくら頑張っても、練習時のように自分の思い通りになるとは限りません。
バンドでなくソロなどの場合でも、モニタースピーカーがなくて同じように聴こえてくる音が小さいことがあります。
この状況だと、
出している音が小さく感じる
↓
必要よりも強くピッキングする
↓
ダイナミクス(弾ける音量の幅)がなくなり起伏のないプレイになる
↓
淡々としたプレイなのに手にはどんどん負担がかかる
↓
そんなに頑張ってるように見えないけどミスする
という、聴く方にも弾く方にも良くない方向に進みがちです。
練習の時から、モニターの音を少し小さくしても、リラックスしてプレイできるようにしてみましょう。
もちろん、細かいニュアンスなどが分からなくなるので、常に小さくする必要はありません。
もう十分弾けるようになったと思っている曲で試してみて、さらに磨きをかけてみてはいかがでしょうか!
さいごに
環境パラメータを固定して練習するのは大切です。
同じ条件で練習することで、その日の自分の調子が分かったり、練習中のフレーズがどれだけ弾けるようになったか判断できたり、楽器や機材の変化に気付いたりできます。
そこから、今回ご紹介したような本番に近い環境パラメータに変更するのは、とても簡単です。
特に人前で弾くことに慣れていない間は、1つでも実践しておくと、本番の不安要素が減って演奏に集中することができます。
今回は「本番で成功するため」と銘打ってブログを書きましたが、何か煮詰まったときに環境を変えるのも良いですね。
特に曲を作ったりするときは、家の中ではなく庭とか河原とかで作業してみると、リフレッシュして良い結果が生まれるかもしれません。。
この時の環境パラメータは「場所(位置)」ですね!
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