音楽が好きな方は、一度は平均律と純正律という単語を聞いたことがあるのではないでしょうか?詳細な数字や演奏方法は詳しい方に譲るとして、ここでは理系っぽく図に表して、両者を直感的に理解できるようにまとめてみました。
平均律
平均律は「1オクターブなどの音程を均等な周波数比で分割した音律」(Wikipedia)です。
一般的に書いてあるので、初めて読む方にはよく分からないかもしれません。
現在耳にする曲のほとんどは、平均律をもとにしています。
実は、ギターのフレットの間隔がすべての弦で同じなのも、平均律のおかげです(この記事を最後まで読んで頂ければ、何となく理由がわかります!)。
まずはこの平均律を図に表します。
図示する方法は様々だと思いますが、ここでは1オクターブで1周する円として描いてみます。
まずは基準の音をX軸にプロットします。
ここではC(ド)の音を基準にします。
続いて、原点を中心に均等な角度で回転させます。
1オクターブ内の音を描くと次のようになります。
回転した角度が分かりやすいように、原点から線を引きます。
1オクターブは12半音なので、360÷12=30で隣り合う音の間は30度ずつです。
1周してCに戻ってくると、1オクターブ上がります。
オクターブ上がるのは「らせん」をイメージすると良いかもしれません。
ここまでの図は平面上の円ですが、斜めから見ると・・。
上から見て同じ位置は同じ音名、高さが違うとオクターブ違うという感じです。
純正律
純正律は「周波数の比が単純な整数比である純正音程のみを用いて規定される音律」(Wikipedia)です。
これだけでは平均律よりピンときません・・(定義としてはこう書くしかないと思います)。
詳しい説明はリンク先等に任せて簡単に表現すると、「和音が綺麗に響くように決められた音律」です。
平均律のときと同様に、Cを基準としてプロットしてみます
原点から線を引くと次の通り、適当に分けたピザのような形になっています!
法則性としては、3種類の角度が存在しています。
赤色は平均律の30度よりも少し広め、黄色は30度よりも少し小さめ、緑色は30度よりもかなり小さめ です。
・・・ということは、フレットのないヴァイオリンなどで弾くとき、3種類の半音を弾き分けないといけないってこと!?
ギターを弾く人間からすると、目まいがする話です。
平均律と純正律の比較
2つの音律を同じ円上にプロットすると、次のようになります。
黄色の四角が平均律で、青色の丸が純正律です。
近い位置にある音と、離れている音が混在していますね。
いくつか抜粋します。
C(ド)は平均律と純正律で唯一完全に一致する音です。
E(ミ)は平均律の方が大分高くなっています。
G(ソ)は平均律の方がわずかに低いです。
平均律でドミソ(C E G)の和音を弾くと、純正律からのずれによるうなりが生じているということです。
しかし、綺麗な響きとなる純正律が万能かというと、そうでもありません。
基準の音を中心に響きを優先して作られているので、融通がきかないのです。
例えば、CとGのパワーコードを弾くのと同じノリでDとAを使っても、後者の響きは悪くなります。
これは、調和した響きをもつ図のピンクの2直線が回転しても、赤の線と重ならないことから絵的に理解できます。
すなわち、純正律にしたとしても響きの良くない和音が存在するということです。
基準の音が変わると音程がずれるということは、転調することができないということでもあります。
キーが変わるたびに微調整すれば良いのかもしれませんが、歌やフレットのない楽器などでしか対応できません。
対応するにしても、上級者向けのジャズ・スタンダードのようにピョンピョン違う調に飛ぶ曲の演奏は、ほぼ不可能だと思います。
逆に言うと、平均律ができたのでそのような音楽が発展したというべきかもしれませんが・・。
さいごに
平均律と純正律の違いを図で見てきました。
文字だけの説明よりもざっくりですが、感覚で納得頂けていたら幸いです。
とは言いつつ、音で聴き比べるのが一番だと思うので、興味がある方はネットの音源や動画を検索してみて下さい。
例えば、純正律音楽研究会のサイトでは平均律との聴き比べができるます。
AとBのどちらが純正律なのか・・・「芸能人格付けチェック」をしてるみたいで何か楽しくなりますよ!
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