弾いているだけではあまり意識することはありませんが、ギターやギターの機材を実際に作るとなると、様々な計算をする必要があります。ここでは身近なテーマの計算問題を4問用意したので、ネットで調べながらチャレンジしてみて下さい!
第1問
【問題】
.012から始まるゲージのアコギ弦を買いました。
1弦の太さは何ミリメートルでしょうか?
【答え】
弦の太さは慣例的にインチ単位で表記されています。
1インチは25.4ミリメートルなので、
0.012[in] × 25.4 = 0.3048[mm]
になります。
「エレキギターの弦は.009と.010のどっちを使ってる?」
「え、.011?太いね~」
みたいな会話をよくしますが、0.001[in]の違いはわずか0.0254[mm]です!
人間の手って繊細ですね。。
第2問
【問題】
4/4拍子、120BPMの曲でギターにデジタルディレイをかけます。
付点8分で音を返すには、ディレイタイムを何ミリ秒に設定すればよいでしょうか?
【答え】
120BPM(Beat Per Minutes)は1分間に120拍のテンポなので、4分音符の長さは
60[sec] ÷ 120 = 0.5[sec]
※ [sec]は秒(セカンド)です。
8分音符は4分音符の半分の長さなので
0.5 ÷ 2 = 0.25[sec]
付点8分音符は8分音符のさらに半分の長さが加わるので
0.25 + 0.25 ÷ 2 = 0.375[sec]
ミリ秒[msec]に直すと
0.375 × 1000 = 375[msec]
第3問
【問題】
弦長(スケール)が628ミリメートルのギターを作ります。
1フレットはナットから何ミリメートルの場所に打てば良いですか?
【答え】
12フレット(開放弦よりを1オクターブ高い)は、弦長の半分の位置にあります。
1オクターブ高くなると周波数は2倍です。
つまり、周波数比の逆数(ここでは1/2)を弦長を掛けると、フレットを打つ位置が計算できます。
1フレット(1半音)分の周波数比は
であることを利用します。
例えばWindows10の電卓だと関数電卓モードにして次のように入力します。
周波数比の逆数に弦長を掛けると
ナットからは
だけ離れた位置に1フレットを打つことになります。
実際には、ネックのそりやフレットの高さなどを加味して、ここから補正して行くんだと思います。
ギター職人の腕の見せ所の1つですね!
第4問
音圧レベルが70デシベルのギターAと80デシベルのギターBが同じフレーズを弾きました。
合わせて何デシベルの音になるでしょうか?
【答え】
単純に70 + 80 = 150[dB]とは計算できません。
音圧レベル[dB]ではなく、音圧[Pa]から再度音圧レベルに変換します。
音圧レベルLpの定義は音圧をp[Pa]、基準値をp0(20[μPa] ※マイクロパスカル。後で消えます)とすると
対数の性質を利用して変形して
音圧の2乗が音の強さに比例するという、音圧レベルの本来の形になりました。
ここで、ギターAの音圧レベルをA[dB]、音圧をa[Pa]、ギターBの音圧レベルをB[dB]、音圧をb[Pa]とすると、求める音圧レベルは
ギターAの音圧レベルは式①から
変形して
両辺に対数をとって
ギターBについても同様に
式②に式③と式④を代入して
Aに70[dB]、Bに80[dB]を代入して
ギターBの80デシベルから少し増えただけになりました!
なお、式⑤がネットで検索したら出てくるデシベルの加算の式になっています。
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