同じ芸術でも文芸や美術と違って、音楽は様々な「時間」が駆使されることが多いです。特にギタリストはその傾向が強いのではないでしょうか。
CDの「時間」
私たちが購入したCDやダウンロードした音楽データには、色んな時間の音が同時に鳴っています。
一発録りのものもありますが、多くは ドラム⇒ベース⇒ギター⇒ボーカル⇒コーラス のように順番に録音していくと思います。
それぞれの奏者はまったく関係ない時間に演奏しているのに、最終的には曲として完成するんです!
もしかしたら同じ楽器でも、AメロとBメロは別々に録音したものかもしれません。
よく考えると、とても不思議ではないでしょうか?
私がそれを一番感じるのは、B'zのアルバムを聴いているときです。
何しろ、超個性的なメインボーカルの上に、同じ超個性的な声でコーラスが乗っているので、久しぶりに聴くとボーカルの稲葉さんが2人以上いるようで、頭が混乱してしまいます。。
B'zに限らず、有名アーティストのスタジオアルバムを聴いているときに、同じ感覚を持たれた方もいるのではないでしょうか。
マルチプレイヤーなアーティストならすべての楽器を1人で演奏した!なんて曲もたまにありますね。
これも時間をあやつる録音技術があってのことだと思います。
ライブの「時間」
ライブでも「現在」出している音だけではなく「過去」に作られた音と一緒になって曲が完成することがあります。
例えばアイドルグループの多くは曲のカラオケを流すでしょうし、生バンド中心でもマニュピレーターが準備しておいたSE(効果音)を鳴らすこともあります。
例え歌が口パクであっても、ダンスパフォーマンスがあればそれでライブとして成立するので不思議です。
野球ドームなどの広い会場では、「現在」出ている音でさえうまく制御する必要があります。
光(お客さんに見えている演者の姿)よりも音(お客さんに聴こえる音)のほうが速度が遅いので、ステージから遠いほど動きと音にずれを感じるようになるからです。
詳しくは知りませんが、そのあたりの時間のズレをスピーカーの位置などを工夫して最小限にするのも、PAさんの仕事の1つなんだと思います。
小さい会場でも、音が壁で跳ね返ったりお客さんの服に吸収されたりするので難しそうですね!
ギターの「時間」
ギタリストが時間をあやつると言えばディレイやエコーですね!
ディレイはその名の通り、音を遅らせて出すエフェクトです。
遅らせる時間を短くして残響音的な効果を出したり、長く遅らせて音を重ねることによってフレーズを構成するなど、まさに時間を駆使したものです。
テープエコーは超アナログで、弾いた音をテープに録音して時間を空けて再生するのを繰り返す機材です。
今ではコンパクトエフェクターでも同じ効果を得られるものがありますが、「逆再生」も可能だったりします。
もはや時間の進む方向まで変えてしまっていますね!!
私も多用するルーパーは、録音したフレーズを繰り返し再生(ループ)し、その上に音を重ねることができるエフェクターです。
短い時間をその場で切り貼りするイメージですね。
多重録音された曲と完全な生演奏の間という、なんとも中途半端な立ち位置ですが、これはこれで面白い効果がでます。
他にもオクターバーは、弾いた音の1オクターブ低い音や高い音を、もとの音と同時に出してくれます。
存在しない時間に弾いた音まで表れましたね~。
さいごに
「時間」に関することを色々と書いてきました。
様々な時間を使って完成させた音源も良いですし、生演奏にも同じ時間を共有できているという魅力があります。
同じ曲を聴くのには誰であっても同じ時間が必要なので、良い音楽だと思ったら聞き流さないようにしないといけないですね。
それにしても、これだけ時間に関することが多いのに、約束の時間に遅刻してくるギタリストはたまにいます。
時間のスケールによって、また違う感覚なんですかね。。
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