「音価」は音符や休符の長さのことですが「音の価値」と言い換えるとまったく違った意味に感じます。私はバイオリンやサックスの音色を聴くと不思議とこの「音の価値」という言葉が浮かんでくるのですが・・世の中の様々な楽器の音に価値の差はあるのでしょうか?
いきなりですが、価値という言葉だと誤解を招くかもしれないので、ここではひとまず存在感と表現することにします。
もちろん存在感があるから良い、ないから悪いという話ではなく、ありなしによる違いが少し整理できたらいいなという主旨です。
まず、冒頭に出てきたバイオリンやサックスには存在感があります。
両者は美しくメロディーを奏でられる楽器の代表格ですね。
ギターでは、強めに歪ませた音だと同様に存在感があると感じます。
存在感のある音の特徴は、リードを取るのに最適だということです。
音につけられる表情が非常に豊かで、少ない音数でも存分に聴かせられますし、音数を増やせば聴衆を圧倒するような演奏も可能です。
しかし、安易に重ねると強烈に聴きづらい音になるという諸刃の剣の性質もあります。
伴奏したり脇役に回ることが難しいということですね。
頭に浮かんだのが、作曲から編曲までこなすようなアーティストでも、ストリングスアレンジやブラスアレンジは別の専門家が担当していることが多いということです。
それだけバックにまわすには、特殊なノウハウや経験が必要だということではないでしょうか?
一方、ギターのクリーントーンやピアノは存在感がありません。
音色が持つパワーでガツン!とはいかないので、主役になるには聴かせるための様々な工夫が必要になってきます。
しかし、伴奏楽器としては最高のポテンシャルを持っていると言えます。
弾き語りのほとんどがギターかピアノで行われているのがその証拠ですね。
バンドでもほとんどの場合ギターかピアノ(もしくはキーボード)がメンバーに入っているはずです。
存在感のない音なので、たくさん同時に発音してもきれいに調和して響いてくれます。
ここで大事なのは、ギターはその種類や弾き方、さらにアンプのセッティングやエフェクターなどによって、存在感を幅広く変えられる珍しい楽器だということです。
なので、ただ上手に弾ければ良い、カッコ良く弾ければ良いではなく、全体を俯瞰で見られるプロデューサー的な視点が少しでも養えれば、同じ演奏スキルでもより良い音楽を作り出すことができるのではないでしょうか?
好きなようにギターをかき鳴らしているように見えるギターヒーローも(意識的か無意識化は別として)全体のサウンドが良くなるように色々と微調整していると考えると、これまで聴いてきた曲もまた違ったように聴こえるかもしれません。
関連記事
ギタリストが曲のキーを見て思っていること
才能がなくても作曲ができる方法
インストの得する所と損する所
文脈で意味の変わるギター用語3選