クリップチューナーやスマホのアプリの普及で、耳でギターのチューニングをすることが少なくなりました。耳で自力でチューニングできて一人前、という昔の考え方とは逆を行く形です。では現代のギタリストの耳は鍛えられていないかというと、そうでもない気がするんです。
始めに断っておきたいのですが、耳で聴いてチューニングすることが大事なのは間違いないと思います。
音感が鍛えられるのはもちろん、チューナーでカバーできない音程差の微調整をしたり、ピアノなどのピッチを変えるのが難しい楽器に合わせるときにも必要になってきます。
その方法自体は、ちょっと検索すれば分かりやすく説明してくれているサイトがたくさん出てくるので、ここでは割愛させて下さい!
このブログを書くきっかけは、ピアノなど普段チューニングする必要がない楽器のプレイヤーでも、ピッチ感覚が優れていることがあるのはなぜかな?とふと思ったからです。
ピアニストの場合は、子供の頃から音楽教育を受けて身につけたということもあるかもしれませんが・・。
耳でチューニングすることが耳を良くすることの特効薬でないことに、少しモヤモヤしませんか?
必要な技術ですが、もしかしてあまり偏重することはないのでは??
色々考えたんですが、今のところは「正しいピッチの音楽や楽器に多く触れる」ほど耳が良くなるのではないかと考えています。
これだとピアノの件も説明できますね(ちゃんと調律されていることが前提ですが・・)。
実体験とも整合します。
例えば最近感じたのは、ひたすら弾き語りで自分の曲を追及している人よりも、普段から色々な音に耳を凝らしているライブバーのマスターがたまに弾くギターの方が、ピッチが合ってるなということです。
そもそも「耳が良い」という表現が微妙ですね。
音程が合っているか分かるってことですが、音楽的に良いかが分かるわけではないので・・。
その点、音楽に多く触れることは音楽的な耳の良さも上がって一石二鳥だと思います。
ゆくゆくはギターのフレーズを考えたり、自分で作曲や編曲をするときの糧となるはずです。
なので、普段はチューナーでさっさとチューニングしてしまってガンガン弾きつつ、時間に余裕のあるときは耳でチューニングして少しずつ精度を高めて行くスタンスが良いのではないでしょうか。
少なくとも、耳でチューニングができるがオリジナリティがないギタリストより、チューナーに頼りつつも非凡な自作曲をプレイしているギタリストを観たいと思うはずです・・。
ただ、チューナーを使っても音が合っていないことは多々あります。
フレットやネックなどのギター本体の原因であったり、押える指に力が入り過ぎているとか、チューニングの後にカポタストをつけて太い弦ほどシャープしている等々・・。
チューニングの方法に関係なく、チューナーを過信せずに最後は自分の耳で判断することが大切です。
フレット楽器のギターはどう頑張っても不正確な音程しか出せませんが、その曖昧さが様々な要素のクッションとなり、これだけ普及したとも言えると思います。
最後は人間の耳で判断するしかないアナログな所も、人を引き付ける魅力なのでは?
色々なことが機械やAIに取って代わってきている今、チューニングを始めとした様々なギターの慣例も、少しづつ見直されていくのかもしれません。
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