ルーパーを使ってライブでも演奏可能な完成されたアレンジをするには?その方法の第三弾です。今回は、曲中でループさせる部分の決め方とアレンジのアイデアをご紹介したいと思います。ここがルーパーを使ったアレンジの要と言っても過言ではありません!
ループできるまとまりを探す
ルーパーは録音した音をそのまま繰り返し再生します。
なので、まずは曲の中で同じコード進行や同じフレーズが繰り返される部分を把握しておく必要があります。
対象の曲をよく聴いてギターで曲をコピーしつつ、ルーパーを使ったアレンジの青写真を描いていきましょう。
できれば曲全体を分析してしまってからアレンジするのが、ベターな方法です。
と言うのも、パッと聴いた感じは同じ進行でも、実はキーが変わっていたり、コードの一部が変化していたりして、途中でアレンジが破綻する可能性があるためです。
せっかく時間をかけて作業をするので、ボツになる可能性はなるべく排除しておきたい所です。
もちろん、破綻したところを無理やり形にして成立させるのもありだとは思いますが・・。
ループさせる長さは、演奏が間延びしないように、基本的には短い方が良いです。
例えば4小節のループでリズム・ベース・コードバッキングの3パートを録音するには、最低でも4×3で12小節が必要です。
これが8小節のループだと8×3で24小節となり、かなり時間をかけないと3パートが録音できないことになります。
8小節の始め4小節がAパターンで、次の4小節はわずかに変化がついたA'パターンのときは、思い切ってAパターン4小節をループさせてゴリ押すのもありです。
同様に、録音するパート(先ほどの例だとリズム・ベース・コードバッキング)も印象的なフレーズなど必要最低限のものに限定して、数を減らすとスマートにループを作成できます。
短いループを繰り返せる曲
もともと短いコード進行やリフが繰り返される曲は、ルーパーと相性が良いです。
こちらの「雨に泣いてる」はGm7-Am7-Dm-Dmの4小節で曲の大半が構成されているため、早めにループを録音してメロディー弾きに移ることができます。
原曲は同じコード進行でもリズムのシンコペーションの仕方が違う箇所があるのですが、そこはざっくり1パターンにしてしまってループ時間を短縮しています。
この手の曲は、同じパターンの繰り返しなので聴き手を惹きつけ続けるのが難しい側面もあります。
その点「雨に泣いてる」は原曲が別メロディーやブレイク(動画の1:48あたりから)で見事に変化がついているので、それを踏襲するだけで起伏のあるアレンジができました。
逆に考えると、自分の曲をルーパーでアレンジするときは、ループフレーズを短くしてしまえば良いということです。
こちらの「未来都市DIM」は2小節という短いループを有効に使ったオリジナル曲です(途中で4小節の別のループも使っています)。
1コーラスをループさせる
もっともシンプルで分かりやすいのが、曲のワンコーラス分をループさせる方法です。
こちらの「ハレルヤ」は、いわゆる歌の1番の始めから終わりまでを録音してループさせています。
ループが長いため、リズムを録音して次はベース・・のように順番に重ねていくことができません(何小節もシンプルなリズム音やベース音だけを聴いくれる人は少ないです・・)。
なので、最初はソロギタースタイルで曲をシンプルに聴いてもらいつつ、裏で録音しておき後で重ねていく方法を取っています。
加えて、途中に録音しない単発のソロ(動画の2:20あたりから)を入れたりして、常に音を重ねていくだけではない変化をつけています。
1コーラスがきっちり決まっているジャズスタンダード曲などはルーパーに適してそうですが、前述の通りループが長くなるためアレンジは難しいです。
12小節のブルース形式くらいなら比較的やりやすいかもしれませんが、それ以上の長さだと後述のカラオケ方式の方が良いかもしれません。
曲の一部をループさせる
J-POPなど、1コーラスが長い上に同じコード進行の繰り返しも少ない曲は、一部分だけをループさせるとループ時間を短くできます。
ループさせるのは、もっとも聴かせたい部分や盛り上げたい部分にします。
歌ものならサビの部分をループさせると効果的ですね。
こちらの「LOVE PHANTOM」はサビのバッキングをループさせています(0:25から録音開始)。
さらに2:55から録音したループを再利用してエンディングに向かうアレンジです。
ループ以外の箇所は、フィンガースタイルで弾いてなんとかしのいでいます。
この曲はAメロが短い(動画の1:15から1:32)ので、比較的やりやすい部類なのかもしれません(それでもアレンジは大変でしたが・・)。
歌われる方なら、ループ以外の部分は普通に弾き語りでいけますが、インストだと中々難しい所もあるアレンジ方法です。
あらかじめループを録音しておく
少し裏技的ですが、先にループを録音しておいて本番でそれを流しながら弾いたり、さらに音を付け加えたりする方法もあります。
ループの録音をミスなくできますし、ギター以外の楽器を使うこともできます。
ルーパーの容量を超えない限り長さに制限はありませんし、アイデア次第でなんでもできそうですね。
デメリットとしては、ライブ感が薄れてしまうことが挙げられます。
今現在出している音の割合が少なくなり、カラオケを聴いている感じが強くなってきます。
あらかじめ録音したテンポで弾かないといけないので、テンションが上がっても走り気味に弾くことはできませんし、テンポの変化もその場でコントロールできません。
こちらの「パプリカ」は、ドラムパターンをルーパーに録音しておき、ソロギターに合わせて再生と停止をするアレンジになっています。
今回のまとめ
ループさせる箇所別に分類して、ルーパーでアレンジするアイデアをご紹介してきました。
どこをループさせるかによってアレンジの難易度や完成度が大きく変わってくるので、色々と試しながらベストなものを見つけたいですね。
次回は、たぶん最終回!
意外と難しい、ルーパーを切る部分のアレンジについてご紹介する予定です。
ライブ用にアレンジする!ルーパーの使い方 ④エンディングのアレンジ
ライブ用にアレンジする!ルーパーの使い方 ①ルーパーについて
ライブ用にアレンジする!ルーパーの使い方 ②音の住み分け
ソロギターのアレンジで使える裏技【都合良く変えてしまう編】