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「これくらいは弾ける」思考に足りないもの

自分がテクニック的に弾けると思う曲やフレーズに対して「これくらい余裕で弾けるよ♪」となめてかかったことはありませんか?この考え方はギターの上達を妨げるだけではなく、音楽の聴き方にまで悪影響を及ぼします。ドキッとされた方はぜひ続きをご覧ください・・。

はじめに

 

今回の「これくらいは弾ける」思考の話は、別に調子に乗っているギタリストを批判したい訳ではなく、私自身がそれに陥ったことがあるためにテーマとして選択した次第です。

 

ギターを始めて数年たった頃・・譜面を見て有名曲のギターソロをコピーし、何とか全体をなぞったくらいの段階で「何だ、これくらい楽勝楽勝!」という考え方になってしまっていたんです。

 

もちろん今から考えたら全然弾けてない状態なのですが、意識だけが他のギタリストに対してマウントをとるようになっていました。

 

 

 

その状態でも練習は継続してやってます。

 

しかし、自分はある程度弾けているという幻想に囚われているために、一生懸命やるというよりはマイペースで好きな練習をやるという感じになってしまいます。

 

この間、真摯にギターに取り組んでいる人との差が広がっていくのに気付きもしません・・。

 

 

 

私の場合は結果的に鼻を折られるようなことがあったり、井の中の蛙であることを知らされる出来事があって考え方を改めるのですが、それが起こるまで待つことはないですよね!

 

せっかく練習してるので少しくらい得意になる瞬間もあって良いと思うんですが、その後は冷静に自分の状態を分析して改善を続けるべきだと今では思います。

 

では「これくらいは弾ける」思考のときに具体的に何が不足しているのか?

 

次から挙げていきたいと思います。

本当に弾けている?

 

まず「これくらいは弾ける」と自分では思っていても、実際には弾けていないことが多いです。

 

「これくらい」の「これ」は曲でもアレンジでもフレーズでも同じですが、ここでは分かりやすいようにフレーズに統一して進めたいと思います。

 

 

 

自分のギターだけなら、フレーズの中でテンポが揺れても気付かない可能性があります。

 

弾くことに集中していて気付いていないミストーンもあるかもしれません。

 

また、1つのフレーズだけなら弾けていても実は力んで弾いていて、前後の流れの中ではうまく弾けないかもしれません。

 

 

 

さらにどの程度思い描くニュアンスで弾けているかも分かりません。

 

リズムや音の高さはあっていても、強弱やトーンにはまったく気配りができていないこともあります。

 

 

 

このあたりをチェックするには録音してみるのが最も効果的だと思います。

 

簡単なオケを作ったり誰かと一緒に演奏できればベストですが、ギター1人だけの録音でも十分です。

 

ギターを弾いてない状態で客観的に聴くと「これくらいは弾ける」が「あれもこれもできていない」に変わっているかもしれません・・。

 

できていない場合は悲観するのではなく、逆にできていないことが明確になったのでそれを練習すれば良いということになります。

弾くだけでなく使える?

 

先ほどの「本当に弾けている?」をクリアしていても、まだまだ調子に乗ってはいけません!

 

なぜなら、まだフレーズのコピーが終わった段階だからです。

 

そのフレーズを他の曲や他のアレンジの中で使うことができるでしょうか?

 

使えないということは、そのもとのフレーズがどんな状況で出てきたかまではコピーできていないということです。

 

 

 

まるで覚えた偉人の名言そのままを連呼しているような状態ですね・・。

 

自分の言葉の中に名言を取り入れるには、その名言がどんな意味でどのような背景の中でのものかを理解しておく必要があると思います。

 

音楽に戻ると、キー・コード進行・リズム・音階など様々な要素があるので中々難しいですが、自分が納得できる形に落とし込んでおかないとフレーズを使うことは至難です。

 

たまに自分では分析しようのないフレーズに出くわしたりもしますが、どこで使えるか実際にはめ込んでみて確かめるのも、1つの手段かもしれません。

 

 

 

さらにもう一歩踏み込んで、フレーズを自分流に変化させて使えるようになるとかなり理想的ですね。

 

とっさに使うには長い時間を掛けて身体に染み込ませる必要がありますが、心の琴線に触れたフレーズは自分の血肉にできるように弾いて行きたい所です。

使えるだけでなく思いつける?

 

ここが決定的に「これくらいは弾ける」思考に足りないことではないでしょうか?

 

「これくらい弾ける」と思っている人は、例えそのフレーズを使いこなせたとしても自分で考え出したものではありません。

 

他人の言葉を借りて同じことを語っているのと同じ状態ですね。

 

自分の言葉で考えて話している人と比べると、どちらに耳を傾けるでしょうか?

 

もちろんオリジナル側の人も他の誰かの影響を受けていますが、創造的かそうでないかで雲泥の差があると思います。

 

 

 

自分でフレーズや曲を作るのは少しハードルが高く、言葉のようにおいそれと出てこないことも多いです。

 

ただ共通して問題なのは「これくらいは弾ける」思考だと他の人達が作り出したものに敬意を払えなくなることです。

 

敬意が払えないと何事にも自分に有利なバイアスが働き、本当の自分が見えなくなってしまいます。

 

それは全然できない自分を課題評価して適切な努力ができないことに繋がってしまいますし、ギターを弾く以前に大切な、他の人の音楽を注意深く聴くこともおろそかにしてしまいます。

おわりに

 

少しでも弾けた時のうれしい気持ちはとても大事だと思います。

 

しかしそこで図に乗るのではなく、自分の状況を冷静に分析して次に繋げられる人が、結果的に理想に近いギタリストになっていくのではないでしょうか。

 

 

 

現状をどう分析して活かすかは非常に難しい所です・・。

 

他の人に意見をもらうのが文字通り客観的なのですが、すべての人のアドバイスを鵜呑みにする訳にもいきません。

 

様々な状況を鑑みながら、最終的には自分で決めて行くしかないのかなと思います。

 

 

 

ここまで書いてきてから「これくらいは弾ける」思考になったことがあるのは自分だけだったらどうしよう・・という考えが頭をよぎり出しました。。

 

でも最後まで読んで頂けたということは、多かれ少なかれ共感してもらってるってことですよね!

 

いち独学ギタリストの失敗談が何かのお役に立てば幸いです!

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