過去のブログで任意のフレットを押えた時の基音の周波数の計算方法をご紹介しましたが、すべての弦ですべてのフレットの周波数を図示するとどうなるのでしょうか?今回はもしかしたら役立つかもしれない豆知識のご紹介です。
6弦のグラフ
さっそくグラフを描いて行きたいと思います。
今回はA=440Hzを基準にします。
これは1弦5フレットのAの音の周波数ですね。
どの弦から描いても良いですが、6弦からスタートしましょう!
6弦でAの音はというと・・5フレットです。
基準の1弦5フレットより2オクターブ低いので、4で割って110Hzとなります。
これを横軸:フレット、縦軸:周波数としてプロットするとこんな感じです。
続いて隣接するフレットの周波数はどうなるでしょうか?
4フレットは110Hzを2^(1/12)で割って103.8Hz、6フレットは110Hzに2^(1/12)を掛けて116.5Hzですね。
この辺りは過去のブログ「何ヘルツの基音を出しているかの計算方法」で整理していますが、めんどくさ!という方は飛ばして次のグラフをご覧下さい。
この調子で6弦のすべてのフレットについて周波数をプロットします。
ここではひとまず24フレットまでの範囲としました。
なんか思ったよりも曲がっていますね・・。
昔習った二次関数の放物線のグラフみたい。
ちなみに今描いているグラフの周波数は基音のもので、実際は倍音を伴います。
なのでグラフの点よりも高い周波数側にもうっすらと色が付いているようなイメージになるかと思います。
全弦のグラフ
それでは全部の弦のグラフを一気に描いてしまいます!
各弦の色は、ダダリオのものを参考にさせてもらいました(弦ごとにボールエンドの色が異なる)。
ざっくりグラフから読み取れるのは・・
- 良く使うポジションでは100Hzから1000Hzくらいの音を出している
- 同じ周波数の音が複数の弦で出せる
- ハイポジションに行くほど周波数の傾きが急になる(高音弦ほど顕著)
- 高音弦ほどカバーしている周波数帯が広い
といった所でしょうか。
こうやって眺めると1弦が最も優秀で6弦はあまり役に立たなそうに見えます。
しかし、実際はそんなことはありませんよね!
これは周波数の増減と人間が音程を感じる感覚が異なるためにそう見えるのだと思われます。
例えば6弦開放弦と6弦12フレットを順に弾いたときの音程と、1弦で同じことをしたときの音程は同じ1オクターブに聴こえます。
しかし、周波数としては1オクターブ上がると倍になるので、高い音ほど周波数の範囲が広いということになります。
数学的な正体で言うと指数関数ってやつですね。。
そこで、次のように見方を変えてみます。
横軸のフレットはそのままに、縦軸を対数目盛にすると・・。
各弦の音の上がり方が直線になり、感覚と一致しました!
対数目盛にすることで、グラフで同じ距離なら同じ倍数のスケールでプロットすることでできます。
周波数が低い所で2倍になっても、高い所で2倍になっても縦軸の距離は同じということです。
人間の音程の感覚に合った表現方法ですね!
さいごに
フレットと周波数の関係のグラフを描いて少し考察しました。
べつにこれでギターが上手くなるわけではありませんが、また1つギターを身近に感じることができた気がします。
今回は横軸をフレットとしましたが、ナットからの距離にしてみるのも面白そうです。
ちなみにウリ・ジョン・ロートの使用で有名なスカイギターは32フレットまであるそうです!
超ハイポジションはフレット間隔が狭くなりすぎるので、通常の半音刻みではなく全音刻みだとか・・。
今回24フレットまで描いたグラフを、頭の中で32フレットまで延長してみるのも一興です。
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