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女性のギタリストが少ないのは何故か?

最近は有名アーティストのサポートメンバーや教則DVD、ギター雑誌などでも女性のギタリストを見る機会が増えてきました。しかしまだまだ男性の方が圧倒的に多い印象です。このご時世なのでギター界でもジェンダーギャップをなんとかしないと!という崇高な目標は特にありませんが、、単純に疑問に思ったので考えてみます。

女性ギタリストの割合

 

まずは女性のギタリストがどれくらい少ないかを、定量的に(数字で)見てみたいと思います。

 

他のブログでも使用した「ギタリスト400(音楽之友社)」という世界の著名なギタリストが紹介されている本で女性ギタリストが何人いるかを数えてみました。

 

1995年発行と大分古い本なので現在の感覚とは乖離があるかもしれませんが、ひとまず参考値ということでご容赦下さい・・。

 

 

 

結果は・・掲載されている400人のギタリストの内、女性ギタリストは6名でした!

 

割合にするとわずか1.5%ですね。

 

100人のギタリストがいたら1人か2人しか女性がいないことになります。

 

 

 

例えば進学の時に理系を選択する女性(理系女子)は男性に比べてかなり少ない印象ですが、全体の1.5%よりは確実に多いです。

 

ギター界は何て極端な男性社会なんでしょうか!

 

 

 

出典の本が古いので、現在(2023年)ではおそらく1.5%よりは増えていると思います。

 

しかしおよそ30年の間で爆発的に増えた!ということは感覚的になさそうです。

 

最新のギタリストの名鑑をお持ちの方はぜひ調べてみて下さい(私もいいかげんに最新版を買わないといけませんが・・)。

女性ギタリストは多いはず?

 

最近話題のルッキズム(外見重視主義)じゃありませんが、人前に立ってギターを弾くという性格上、ギタリストは見た目も良いに越したことはないと思います。

 

そういう意味では、(私のような)オッサンがギターを弾くよりも女性がギターを弾く方が華やかで絵的には間違いなく良いはずです。

 

同じ演奏スキルの男女のギタリストがいたら、女性の方が演奏機会に恵まれそうな気もするんですが・・実際にはオッサンの方を良く見かけます。。

 

 

 

確かにYouTubeの弾いてみた動画などでは、女性の動画の再生回数が圧倒的に多い印象です。

 

しかし奏法の解説動画になると出てくるのはオッサンだらけです笑

 

先ほどの本「ギタリスト400」で、特に重要なギタリストとして章を分けて紹介されている114人の中に女性は1人もいません。

 

なので神がかった演奏!のような動画に出てくるのも男性ばかりになります。

 

 

 

そんな風に色々考えていると、何か根本的に女性がギターの沼にはまらない原因のようなものがある気がしてきました・・。

 

会社の管理職に女性が少ない問題!みたいに社会の構造上の問題もあると思います。

 

または機材が重くて運べない!みたいな物理的な問題もありそうです。

 

しかし、それにしても女性の数が少なすぎる気がしませんか?

女性がギターを始める理由

 

そもそもギターを始める動機として、男子向きなものが多い気がします。

 

「(誰かが弾いているのを見たり曲を聴いたりして)カッコイイと思ったから」はギターを始めるきっかけの上位にランクインすると思いますが、女性にはあまり浮かばない感情かもしれません。

 

うまく言えませんが、週刊少年ジャンプを買う女性は少数派なのと同じような感じですね・・。

 

後は「モテたいから」という理由も良くありますが、これもどちらかと言うと男性に多い思考な気がします。

 

純粋に「ギターで音楽を奏でたいから」という以外の付加的な理由が女性には少ないのではないでしょうか?

 

 

 

ピアノや管楽器に比べて(金額的ではなく)精神的なハードルもギターは高いかもしれません。

 

私はリアルタイムで経験していないので何とも言えませんが、ギターをやるなんて不良だ!みたいな時代もあったそうですね(特にエレキギターに対してだと思います)。

 

今はさすがにそんな風潮はありませんが、女性が気軽に始めるにはまだハードルが下がりきっていない可能性もあります。

 

 

 

先ほど調べた「ギタリスト400」の女性ギタリスト6名の音楽ジャンルを見てみると、クラシック4名、ボサノバ1名、ブルース1名となっています。

 

唯一エレキギターを弾くのがブルースの1名(ボニー・レイットです!)になっており、他はクラシックギターですね。

 

当時はまだまだ女性にエレキギターが浸透していないことが分かります。

 

 

 

精神的なハードルには、手が小さいから押弦が難しい、力が弱いからしっかりとした音が鳴らない等の漠然とした思い込みもありそうです。

 

他の人よりも努力しないと同じように弾けないような感覚があると、どうしても二の足を踏んでしまいますよね。。

 

実際にはそれらはあまり上達に関係ないと思います。

 

女性の方が(力加減が丁度良くて)おいしいおにぎりを握れるように・・もしかしたらギターも男性より適性があるかもしれません。

女性がギター沼にはまらない理由

 

女性がギターを始めるのは比較的ハードルが高いのでは?と書いてきましたが、最近はギターを弾く女性もどんどん増えていると思います。

 

昔よりもギターを購入する方法が増えましたし、ギターの扱い方・弾き方の情報もネットで簡単に手に入ることが功を奏してそうです。

 

しかし沼にはまってギターに没頭するようなことはあまりないように思います。

 

男性の方は「ギターでプロになる!」みたいな抽象的な夢を思い描いてしまうくらいギターに熱中する人も多いですが、女性ではあまり聞きません。

 

これはどうしてなんでしょうか?

 

 

 

その理由を考えていると、以前何かの記事で見た女流棋士の話を思い出しました。

 

スポーツと違って体格差が関係のない将棋の世界では、男女で分ける必要はないはずです(男女の思考の違いで得意な戦法などは変わってくるかもしれませんが)。

 

しかし何故トップの棋士達は男性ばかりで、女性は女流棋士というくくりの中で争っているのでしょうか?

 

 

 

記事によるとその理由は「プロ棋士は年に数人しかなれない厳しい世界なので、女流のくくりから脱して勝負するのはリスクが高いから」だそうです。

 

ここからは将棋界のことをほとんど知らない私の想像ですが・・。

 

 

 

もともと男性ばかりだった将棋の世界に女性も挑戦できるように「女流」というくくりができた。

 

そのおかげで女性の棋士の数も増えてきたが、もともと男性ばかりの世界だったので相対的には将棋を志す女性は少ない。

 

女流のくくりを越えて挑戦する棋士も増えづらく、その門戸も狭いままになっているため女流棋士が安定して存在し続ける・・。

 

 

 

といったイメージです(違ったらすみません)。

 

ギターの方でも、ものすごい表現力やテクニックを持つ男性ギタリストを見て、女性が同じ舞台で勝負をしようという思考になるでしょうか?

 

それよりも男性よりも高いキーで歌えるヴォーカルや物語をつむぐ作詞能力、見た目の華やかさ等を活かしてトータルで勝負するような形になるのが自然な流れだと思います。

 

その形の1つが「ギターも弾けるシンガーソングライター」のような存在ですね・・。

 

何を目指すかは個人の自由だと思いますが、将棋の例のように構造上なかなか目指す方向に向かえないのならば解消されるべきだと思います。

さいごに

 

単純な疑問からこのブログを書き始めましたが、昨今少しデリケートになっている話題に触れることになりました。

 

私自身は身分・性別・信条がどうであれ、多くの人にギターの魅力を知ってほしいと考えています。

 

このブログの内容自体が男性優位主義というご批判もあるかもしれませんが、何かモヤモヤしたものが少しでも晴れればと思い、これまで感じたことをまとめた次第です。

 

誰もが分け隔てなく自由にギターを楽しめるような世の中を目指して行きたいですね!

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