ソロギターを弾いたことはありますか?アコギが1本あれば始められますし、1人で音楽として完結するので気軽に楽しむことができます。・・とまあソロギターの利点の紹介は他に譲るとして、ここではソロギターの闇深い部分を取り上げていきたいと思います。それでもあなたはソロギターを弾きますか??
何かホラー映画みたいな物言いで始まりました・・。
かく言う私もソロギターに育ててもらった(まだ育ち切ってませんが・・)ようなものなので、より多くの人にソロギターの魅力を知ってもらえたら・・と思っています。
しかし、ソロギターに取り組む中でちょっと気を付けた方が良いのでは?という部分がいくつか出てきました。
今回はギターもとい音楽をより楽しむために、自戒の念も込めてそのあたりをまとめてみたいと思います。
コピーからの脱却が難しい
ソロギターあるあるなのですが、ソロギターのプレイヤーだけが集まったライブでは必ず曲が被ってしまうというのがあります。
それも「ギタリストのAさんがアレンジしたBという曲」という被り方です。
すなわち音列までまったく同じ曲が2回演奏されるということです。
単に曲が被っているだけで全然違う演奏なら何の問題もなく楽しめるのですが、クラシックのコンテストじゃあるまいしさすがに同じ編曲の演奏を2回は・・。
このあるあるは裏を返すと、有名なソロギター曲をコピーして人前で演奏するスタイルの方が多いということです。
自分なりにカバーしたり自分で作った曲をソロギターにアレンジして演奏するのではないということですね。
別に「もっと上を目指そうよ!」みたいなことを言いたいわけではありません。
既存のアレンジでも結構な練習量をこなさないと、とても人前で演奏できる状態にはならないことは私も身を持って知っています・・。
ここでは、なぜコピーからの脱却が難しいのかを考えます!
思うに、ソロギターは1人で音楽の様々な要素を演奏しないといけないため、弾いてる途中に考える余裕がありません。
歌物の伴奏をするときなら、コード進行を思い浮かべたりボーカルの歌を聴きながら演奏することができます。
単音のソロを弾くときなら、ルートから何度の音を弾いているかを考えたり少しリズムを崩して弾くこともできるでしょう。
しかしソロギターではメロディー・ベース・ハーモーニー・パーカッシブな音などを同時にまたは連続で次々と弾かないといけないので・・そんな余裕がありません!
なのでほとんどの人が完全に暗譜して、さらに飽きるほど反復練習してから本番にのぞむことになります。
ということは・・「弾き方」だけを体に染み込ませる練習に時間を割きがちになりそうですね。
メロディーやコード進行だけを取り出して分析するような時間が持てない(もしくは少ない)ため、何を演奏しているか良く分からないけどとりあえず弾けるという状態になります。
これではその曲は弾けても、そこで出てきた手法やフレーズを他に応用することが中々難しそうです。
応用の仕方が良く分からないのでまた違う曲をコピーする、それでも応用の仕方が良く分からないのでまた違う曲を・・そういうループに陥りやすいのでコピーからの脱却が難しいのではないでしょうか。
良く考えたら、暗譜して反復練習となると楽譜を見ながら弾くステップも通り越しているので譜面を読む練習にもなりませんね。
もちろんソロギターのアレンジを弾き切ることや表情を付けたり抑揚を付けたりといった練習にはなるので、無駄とかいうわけではありませんが・・。
この辺りはソロギター自体が難しすぎることに起因する闇だと思います。
変則チューニングの罠
ソロギターではレギュラーチューニングではなくDADGAD(ダドガド)やオープンD6などの変則チューニングを用いることも多いです。
これが曲(アレンジ)をコピーするだけになってしまう状態に拍車をかけている気がします。
と言うのも、変則チューニングだと自分がどんな音を弾いているかが直感的に分からないからです!
レギュラーチューニングですら指板上の音を理解して自由に使えるようになるのに相当な訓練が必要です。
それが変則チューニングになって、各弦の音程の関係が変わってくるともう訳がわからなくなってしまいます。
変則チューニングにした時の押え方(例えばメジャースケールや各種コードフォームなど)を改めて理解し直したら良いかもしれませんが、現代のソロギターでは曲ごとにチューニングが変わるなんてこともザラです。
そうなると、いちいちどこにどんな音があるかを把握する気にもなりません(少なくとも私は・・)。
その結果、弾き方を図形的に覚えるという方法になりがちです。
形を覚えているだけだと、曲を理解したり他に応用するのは中々難しいと思います。
もちろん変則チューニングで曲をソロギターアレンジしている本人は、どのような音を弾いているか(瞬間的には分からなくても)把握しながら作業しているはずです。
しかしそれをコピーする側は、楽譜に書かれたポジションをなぞるだけで曲が弾けてしまう・・。
さらにここがまた闇深いところで、五線譜を読んでコピーするならまだ音楽的に何が起こっているか分かる可能性がありますが、変則チューニングにしてるので楽譜を読むのが困難になっているという負の連鎖が起こってます。
結局押さえるポジションが書かれたタブ譜だけを見て形で弾き方を覚える・・。
音楽を演奏するのには変わりありませんが、大きな部分が抜け落ちたままになっているような気がしませんか?
機材に熱が行きがち
前述の通りソロギターは難しいため、弾けるようになるには長い時間を要します。
そこで気晴らしに違う曲を自由に演奏したりアレンジしたりしようにも・・これまた前述の通り特定の曲を形で覚えているだけなのでどうすれば良いのか分からない状態です。
当然、他のギタリストとセッションなんてことも苦手・・。
では曲を練習する以外のエネルギーがどこに向けられるかと言うと・・機材に行きがちではないでしょうか。
ギターやピックアップシステムを良いものにすると取り合えず音が良くなったり弾きやすくなったりします(もちろんお金はかかりますが・・)。
良いギターだと弾くモチベーションを上げてくれる効果もあるかもしれません。
機材にこだわること自体は良いことだと思いますし、ギター業界も潤いますし一石二鳥です。
しかしそれにばかり注力するのはもったいない気がします。
ギターも機材も(一部の特殊な人以外は)自分が作ったものではありません。
それも誰も知らないマニアックなメーカーを探し出してきて誰も出していない音を出してやろう!とかではなく、著名なソロギタリストの使用機材と同じものを選んで似たような音を出す傾向があると思います。
これまで述べてきたように、ソロギターでは演奏する曲も曲それ自体を理解したというよりはその曲の誰かのアレンジを覚えただけになりがちです。
なので悪く言うとソフト面でもハード面でも誰かの真似をしているということになってしまっています。
もちろん模倣して色々学ぶのは大事だと思います。
好きな曲が弾けたらうれしいですし、憧れのプレイヤーと同じ音が出せたらうれしいのも分かります。
しかし自分で(もしくは複数のプレイヤーで)何か新しいものを作り出すという音楽の最も魅力的な部分を享受できていないのではないかという気もするんです。
自分のお金で何を買おうが自由ですし、音楽には色々な形があるので何を表現しても良いと思います。
でも何か喉の奥にひっかかった感じあるのは私だけでしょうか。。
闇を払う方法
ソロギターの闇ということで書いてきましたが、同じ問題は他の演奏スタイルでも起こり得ることだと感じています。
「レギュラーチューニングでバンドのギターを担当している」なんて場合でも、弾き方だけ覚えて演奏するだけでは今回のソロギターの闇と同じ状況に陥ってしまいます。
さあ、さんざん陰口みたいなことを言ってますが・・ではどうすれば解決するのでしょうか?
色々と方法はありそうですが、「バランス良く練習する」のが解決策ではないかと考えます。
ソロギターの場合は曲を弾けるように練習することに時間を割きがちです。
しかし少し曲を分析したり自分でアレンジしたりするだけで世界が一気に広がると思います。
その方法が分からなければ、さらにさかのぼったら大丈夫です。
音楽理論を学んだりソロギターのアレンジ方法を勉強したり・・。
レギュラーチューニングでも指板と音の関係が分からない場合はそこからスタートかもしれません。
とにかく自分が前に進むために必要なのにできていないことを、少しずつでも強化していけば道が開けると思います。
さらにそれらがソロギタリストの得意な曲を弾くという部分にも反映されて、さらに良い演奏ができる相乗効果もあるのではないでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
もしどこかでお会いすることがあれば、とっておきのソロギターを聴かせて下さい!
私もまだまだ練習中なことがいっぱいなので頑張ります!!
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