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エレキギターであまりカポを使わない理由

ギタリストなら持ってない人はいないであろう「カポタスト」。アコギを弾く時は便利なシチュエーションも多いですが、エレキギターではあまり活躍の場がない気がします。なぜなのでしょうか・・?

カポタストの利点は「ナットの位置を疑似的にずらすように任意の位置で開放弦の音が得られる」ことですね。

 

汎用的な説明をしようとして何か分かりにくくなってしまいましたが・・。

 

エレキギターであまりカポを使わないのはこの辺りの便利さを享受できない、さらにはカポを使うことでむしろ不便になってしまうためだと思われます。

 

以下、具体的に考えられる理由を書いてみます。

エレキでの開放弦の使用頻度

 

一番の理由は、エレキギターでは開放弦をあまり使わないことにありそうです。

 

開放弦を使わないならカポを付ける意味があまりありませんよね。

 

エレキで開放弦をあまり使わない理由は色々考えられます。

 

 

 

例えばEの音を弾く場合、1弦の開放弦でも2弦の5フレットでも弾くことができます。

 

これらはまったく同じEの音ですが、音色が結構違いますね。

 

アコギでは開放弦の音色がマッチすることが多いですが、エレキでは開放弦は少し浮いた感じに聴こえてしまうことが多いです(実際に和音やメロディーを弾いてみてもらえると実感できると思います!)。

 

もちろんあえて開放弦の音色を選択することもありますが、押弦する方に比べて低頻度なのは間違いありません。

 

 

 

開放弦は消音しづらいのも理由の1つです。

 

押弦しているなら押えている指を離すと音を消すことができます。

 

しかし、開放弦の場合は鳴っている弦に触れて振動を止めるとういう動作が必要になってきます。

 

これではキレの良いカッティングなどは少し難しそうですね。

 

エレキはディストーションなどで歪ませてパンチのある音色にすることも多く、消音できなかった音が致命的なミストーンになることも考えられます。

 

開放弦は別に何も悪くないのですが、エレキではちょっと不遇な感じがしますね・・。

 

 

 

さらに、エレキではコードを6弦すべて使って弾かなくても良いことも挙げられます。

 

なぜならエレキを弾く場合は大抵バンド編成でベースがいるので、低音を弾く必要がないためです。

 

低音弦を弾かなくても良いので左手の押え方の自由度が上がり、開放弦を使わなくても多彩なヴォイシングができますね。

 

 

 

逆にアコギだと多くの弦を使用する音域の広いコードフォームを使うことが多いです。

 

左手は親指を除くと4本しかないので、6弦を有効に使って弾くにはどうしても開放弦を利用することが多くなります。

 

このあたりは、アコギが弾き語りに使われることが多いのも関係しているかもしれません。

 

弾き語りでは歌に集中するために、なるべく開放弦を使ったローポジションのコードを弾くのが有効です。

 

さらに開放弦の豊かな音色を使うことで、ギター1本でも歌を包むような広い音域を出すことができます。

 

弾き語りではカポタストが大活躍しますね。

指板が狭くなる

 

カポを付けると物理的に指板が狭くなります。

 

例えば4フレットにカポを付けると、実質的に(カポを付けない時の)開放弦から3フレットまでの音が出せないことになります。

 

アコギだとローコードのみで伴奏することも多いので問題にならないことも多いです。

 

しかしバッキング、ソロ、オブリガードなどの様々な役割を担うことがあるエレキでは、指板が狭くなるとプレイの選択肢が限定されてしまいます。

 

曲の途中でカポを付け外しすれば良いと思われるかもしれませんが、それはそれで次に書くような問題が起こってきます・・。

チューニングがずれる

 

ほとんどの場合、アコギに比べてエレキの方が弦のテンションが弱くなっています。

 

テンション(弦の張力)については、アコギでは大変なチョーキングがエレキでは比較的楽にできることでその違いが実感できますね。

 

チョーキングがしやすいということは、逆に考えると少しの力で音程が変わりやすいということになります。

 

これはエレキでカポを装着するとき気を付けないといけないですね・・。

 

強くカポを付けると音がシャープしてしまう。

 

逆に弱く付けると弦がビビッてしまう・・。

 

もちろん、カポを付けてから再度チューニングをし直せば良いのですがちょっと手間です(曲中ならより一層難しいですね・・)。

チョーキングの感覚が変わる

 

エレキギターでチョーキングする時を考えます。

 

目的の音まで上がったかの判断は、もちろん耳で聴くのが確実な方法になります。

 

しかしそれと同時に、左手の感覚から行き過ぎか足りないかを感じ取ってはいないでしょうか?

 

この弦でこのポジションでこの音程なら、左手の力はこれくらいになる・・という感覚ですね。

 

実際にプレイしているときは無意識かもしれませんが、手から感じ取る情報を様々な判断に繋げていることも多いはずです。

 

 

 

カポを付けると弦長(スケール)が変わるため、同じ音にチョーキングするにも必要な力が変わってきます。

 

具体的には弦の長さが短くなるので、より力が必要になる方向になりますね。

 

そうすると普段の練習で養ってきた感覚が使えなくなるという事態になってしまいます。。

 

せっかく楽器を自由に操るために練習をしているのにカポを付けると感覚が狂うとなると、少しためらってしまわないでしょうか。。

 

一方アコギでもチョーキングをすることがありますが、半音上げるだけだったり使用回数が少なかったりするのでエレキほど問題にはなりません。

さいごに

 

そういえば「ホテル・カリフォルニア」の冒頭のアルペジオは7カポで有名ですが、ライブではどうやって再現しているかご存知ですか?

 

ライブ映像を見てみると・・上が12弦で下が通常の6弦のダブルネックギターを使っていました!

 

上の12弦の方は7フレットにカポを付けてアルペジオ専用にする感じですね。

 

なんとも賢いやり方ですがこれは簡単には真似できそうにありません。。

 

 

 

何はともあれ、エレキを弾くときのカポの出番はあまり多くはなさそうです。

 

今回はその理由を考えてきましたが、逆に考えるとそれらのデメリットを払拭できるくらいの効果が得られるなら、カポを付けるのもありということですね。

 

まあすぐには効果的な使い方が思いつきませんが・・これまで何となくでしか考えていなかったエレキでカポが使われない理由が整理できたところで、このブログはおしまいです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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