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肉弾き(爪なしの指弾き)の調子を維持するための考察

これまで20年以上に渡って、肉弾き(爪なし)のフィンガーピッキングでギターを弾いてきましたが、思った通りに音が出せる時期と、そうでない次期が交互にやってくる印象がありました。新陳代謝などによって、弦に触れる右手の指先の状態が変化するためだと思われますが、少しでも好調を維持するにはどうすれば良いのでしょうか?

はじめに

 

肉弾きで思った通りに弾ける時の指先は、ピッキングする部分がほどよく固く(タコのように)なっている状態だと考えています。

 

指先が柔らかいと大きな音や強い音が出せず、レンジの狭い演奏になってしまいます。

 

また、それほど長い時間弾いていなくても、指先が弦に負けてきて疲労感や痛みが出てきます。

 

逆に指先が固すぎると微妙なニュアンスを付けづらく、音をコントロールするのが難しくなります。

 

 

 

これらの指先の状態は、ギターのプレイ時間やプレイ強度の他、温度や湿度などの環境、新陳代謝などの体のはたらきによって、日々変わっていきます。

 

どのような状態が良いかは、個人で好みが分かれるかもしれません。

 

しかし、出来る限りベストな状態を維持して気持ち良くギターを弾きたいという点は、共通しているのではないでしょうか。

 

 

 

という訳で、指先の状態(≒肉弾きの調子)を記録して調べてみました。

 

まだ半年間のデータしかないのですが、うっすらと傾向が見えてきたので、一旦ブログに残そうと思った次第です。

 

 

 

なお、今回はスティール弦のアコギを使った時の結果です。

 

ジェフ・ベックのようにエレキで肉弾きしたり、ダック・ベイカーのようにガットギターを肉弾きする場合は、細かい部分で異なることがあるかもしれません。

 

しかし大元の傾向は変わらないと思うので、参考にして頂ければと思います。

記録の取り方

 

肉弾きの調子の良さは、-5から+5の点数で表しました。

 

-5は絶不調で、指先が弱くて大きな音が出せず、少し弾いただけで指先がヒリヒリしてくる状態。

 

+5は絶好調で、思い通りの音が出せて、長時間弾いても苦にならない状態です。

 

 

 

毎日ギターを弾いた後に点数を記録しておき、その変化をグラフ化しました。

 

点数とは別に、爪を切ったタイミングや弦交換のタイミングなどもメモしているので、それらとの関係も見ながら、好調を維持する秘訣を探ってみます。

肉弾きの調子の推移と考察

 

半年間の肉弾きの調子のグラフが下図です。

 

結局、最低点の-5と最高点の+5は出なかったのですが、-4から+4の範囲で振動している様子が見えます。

 

6月頭から9月頭までは、ほぼ1ヵ月の周期で好調と不調が入れ替わってますね。

 

記録を取る前も、1ヵ月くらいで調子が一周する感覚があったのですが、それが証明された形です。

 

 

 

一方、10月以降は1ヵ月以上の間、好調が維持できています。

 

この原因が何なのか、関連しそうなイベントをグラフにプロットして、考えてみます。

 

 

 

まずは爪を切ったタイミングです。

 

肉弾きでは、右手の爪が長いと邪魔になりますし、短いと指先に力が入りづらくなります。

 

ライブや録音の時に丁度良い長さになるように、爪を切るタイミングを調整しているのですが、それが調子に影響しているのではないでしょうか。

 

最初のグラフに、爪を切ったタイミングを赤点線でプロットしたのが下図です。

 

調子との関係が全然見えてきませんね・・。

 

強いて言えば、好調を維持している10月以降は、爪を切る間隔が規則的になっているでしょうか。

 

しかし、線が多すぎて正直良く分からない状態です。

 

 

 

では次に、ライブで演奏したタイミングをピンクの点線でプロットしてみます。

 

本番で張り切り過ぎて、そこから調子が下降するなどの傾向が見られるでしょうか。

 

10月までは、ほぼゼロの(調子が良くも悪くもない)タイミングで本番を迎えていますが、恐らくこれはたまたまですね・・。

 

問題はライブの後に上がっているか下がっているかですが、どちらのパターンもあって何とも言えません。

 

10月末と11月頭の2回のライブの後は、特に調子の変化が見られないので、ライブ演奏は肉弾きの調子に関係ない可能性が高そうです。

 

それでは、弦交換のタイミングはどうでしょうか。

 

正直、これが肉弾きの調子を維持するポイントではないかと疑っていました。

 

と言うのも、ピッキングによってケバ立った(弦のコーティングが剥がれてザラザラした)弦を肉弾きすることで、指に良くない影響があるのでは?と感じていたからです。

 

それでは、グラフにオレンジの点線でプロットしてみます。

 

あれ、あまり関係なさそうに見えます・・。

 

弦交換の後に調子が上がっている時もあれば、下がっている時もありますね。

 

体感的には、ケバ立ってきた弦をケチらずに弦を交換すれば、調子は上がる気がしていたんですが・・。

 

 

 

ちょっと悪あがきして、もう1つやってみます!

 

使っている弦はエリクサーのコーティング弦なのですが、3週間くらいで頻繁にピッキングする位置がケバ立ってきます。

 

そこで、ケバ立ってから弦を交換するまでの期間を算出してグラフに重ねてみます。

 

薄い赤のエリアが、ケバ立った状態で弾いている期間です。

 

この期間が長く続いた後は調子が下降する傾向があるように読み取れないでしょうか?

 

10月からもケバ立った状態で弾いている期間はありますが、それまでに比べて短くなっています。

 

「(6月末や8月末のように)数週間ケバ立った状態で弾くと、その後に調子が下降する」というのが、何とか説明を付けた現在の仮説・・という所です。

 

 

 

他にも、季節的なことが関係しているのではないかとも考えています。

 

夏場は湿度が高くジメジメしていますが、冬場は乾燥して肌もカサカサになりがちですよね。

 

指先にも少なからず、そのような環境の影響があるのではないでしょうか。

 

今後も調子のデータは取っていこうと思うので、合計1年分くらいになってまた何か知見が得られれば、ブログに書いてみたいと思います。

 

同じ悩み(肉弾きの調子が変動する)をお持ちの方の参考に、少しでもなれば幸いです。

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