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ギターに宿る「生命の神秘」

何だかスピリチュアルなタイトルですが、そういった話ではありません。。ギターに関係する材料と言えば木材や金属が最初に浮かびますが、生物由来の材料も意外と使われている気がしたので、まとめてみようと思った次第です。果たしてどんな"生命の神秘"がギターに宿っているのでしょうか?

 

ギターのブリッジサドルやナットに使われている材料として、プラスチックに並んで多く用いられているのが牛骨です。

 

比較的安価で音のまとまりも良いらしく、交換用のパーツや加工用の材料も多く販売されていますね。

 

弦が直接触れる部分に使われているので、かなり重要度が高いと言えそうです。

 

 

 

考えてみると、最初に牛骨を楽器に使ってみようとした人って凄いと思います。

 

日本に住んでいると牛自体にあまり馴染みがありませんが、ギターが発展してきた国だと普通に生活に溶け込んでいたりするんでしょうか。

 

確かにギターの母国とも言えるスペインでは闘牛の文化がありますが・・。

 

 

 

そういえば料理でも、牛骨はスープ作りの材料として捨てずに使われたりします。

 

楽器の世界でも無駄なく利用している感じがしますが、食用の牛の骨からブリッジサドルやナットができているかは知りません・・。

 

 

 

牛骨と似た用途の材料として、象牙(骨ではなく歯ですが)もあります。

 

こちらは社会的な理由で非常にレアで、ネットで検索してみてもかなり高価でした。

 

おそらく新規に輸入できないので、今現在国内にあるものしか流通させられないんだと思います。

 

もちろん象を乱獲するのはもってのほかですが、牛骨とどのように音が違うかは知りたいですね。

 

 

 

あとギターで骨と言えば、ヘリンボーンが思い浮かびます。

 

こんな感じで、ギターのボディを縁取る装飾として良く用いられてますね。

【参照】楽器買取専門店Qsic「アコギの豆知識 ヘリンボーン」

 

ヘリンボーンは魚のニシン(herring)を開いた時に見える骨に似ていることから、名付けられたそうです。

 

 

 

ギターから離れてしまいますが、音楽アルバムのジャケットでも骨(ドクロやガイコツ)をモチーフにしたものって、結構多い気がします。

 

人間は何か骨に惹きつけられる部分があるんでしょうか・・。

 

指板やヘッドに入れられているインレイには、貝が用いられていることが多いです。

 

貝を任意の形状にカットして木材にはめ込むわけですが、聞いただけで大変な作業で私には到底できる気がしません・・。

 

シンプルなデザインも美しいですが、こういった手の込んだインレイはもはや芸術品と言えそうです。

【参照】奥村健治アコースティックギターINロンドン「ヘッドのインレイ モンキー」

 

水辺で育った貝がまったく別の姿に生まれ変わる所も面白いですね。

 

 

 

豪華なインレイは、もはやギター本体よりも製作費が掛かってるのかもしれません・・。

 

しかし、指板のポジションマークやヘッドのインレイは、ギターを弾いている時はほとんど見えませんし、おそらく音にもあまり影響しないと思います。

 

音楽と直接関係ない、見た目や芸術性の部分に生命の神秘が使われているのが興味深いのと同時に、若干の業の深さも感じます。

 

クラシックギターの別名であるガットギターの「ガット」は、羊などの腸(から作られた弦)のことです。

 

・・・というのは知識としては知っていますが、詳しい製造工程は知りませんし、実際に"本物の"ガット弦を使ったこともありません。。

 

しかし、ソーセージが動物の腸に肉を詰めたもののことを思うと、比較的身近な材料な気もします。

 

これまた牛骨の時と同じく、料理と関係していますね。

 

 

 

現在普及しているガットギターの弦は、ほとんどがナイロン製だと思います。

 

本物のガット弦は、伝統的な音色を再現したい場合などに使われるのでしょうか?

 

ナイロン弦でもなかなかチューニングが安定しないイメージですが、ガット弦はさらに悩まされそうですね。

 

 

 

以上、実際に触れる機会は少ないもののギターの名前に残っていて、そこから歴史を知ることができる「ガット」でした。

 

ストラップやピックケースなどのアクセサリーに、動物の革が使われていることがあります。

 

主に牛の革だと思いますが、他の動物の革も使われたりするんでしょうか?

 

高級感があり丈夫で、使い込むにつれて味わいが変化するのも魅力ですね。

 

 

 

ギターと関係ありませんが、革(皮)と言えば三味線が思い浮かびます。

 

子供の頃に、三味線には猫の皮が張られていると聞いた時はまあまあの衝撃でした(実際は自然死した猫から取ったりしてるみたいですが)。

 

同じように沖縄の三線は、蛇の皮が張られていますね。

 

音に直結する部分に使われているので、ある意味1音1音が生命の神秘から生まれていると言えるかもしれません。

 

最後は亀からできる「べっ甲」です。

 

甲羅の加工品ですが、ウミガメの一種のタイマイから作られるそうです。

【参照】Wikipedia「タイマイ」

 

特定外来生物の亀からべっ甲ができたら、色んな意味でハッピーだと思ったのですが、そうではないようです・・。

 

 

 

ギターでべっ甲と言えばピックですね。

 

昔(90年代)は1枚1000円とかで売ってたのですが、今も手に入るみたいです。

 

フラットピックの他に、べっ甲で出来たサムピックやフィンガーピック(右手の人差し指や中指にはめるやつ)もあるようです。

 

 

 

私も過去に使ったことがあるのですが、普通のピックに比べてきめ細かい上品な音だったように記憶しています。

 

アコギをマイク集音するようなスタイルであれば、べっ甲のピックは選択肢の1つになってくるのではないでしょうか。

 

 

 

それにしても、1枚1000円以上するとなればピック投げはもちろん、置き忘れにも注意しないといけませんね。

 

どれくらい弾いたらすり減ってくるのか分かりませんが、ピックの交換時期も悩みそうです。

 

べっ甲のピックを使うなら、3つのカドで弾けるオニギリ型が、経済的には良いのかもしれません・・。

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