
「今日はお客さんが来るから、掃除するの手伝ってねー」そうお母さんから言われたとしても、普段掃除をやり慣れていないお父さんや子供達は何をしたら良いか分かりません。音楽に関しても「後は自分なりに発展させてみてねー」とか言われても、発展のさせ方自体が分からないことが多いと思います。
そんな時、「応接間の窓を開けて掃除機をかけておいてねー」などの具体的な指示があれば、しなければいけないことが明確になります。
テーブルを拭くとか、玄関を掃くとか、お茶の用意をするとか、お客さんを迎えるのに必要な準備をあらかじめ知っていたら、より臨機応変に行動できそうですね。
ギターでも同じことが言えるのではないかと思い、今回は練習の発展のさせかたのヒントをリストアップしてみようと思います。
とは言え私も日々試行錯誤しながら練習している身ですし、体系立てて網羅的に説明するようなことはできません・・。
目指すプレイスタイルや、その人がおかれている状況などでも、練習の発展のさせ方は異なってくるので、非常に難しい所です。
しかし、何はともあれ全くやり方が分からない状態から抜け出すことが先決なので、ブログにまとめてみようと思った次第です。
練習といっても様々あると思いますが、今回は好きなギタリストのソロフレーズをコピーした時を想定して話を進めます。
コピー譜を見たり耳コピしたりして、一生懸命コピーしたお気に入りのフレーズ・・。
何となく弾けるようになったら満足しがちですが、本当に好きなフレーズであれば色々と発展させて自分のものにしたい所です。
以降、3段階に分けて発展のさせかたのアイデアを書いてみます。
ソロフレーズ以外のこと、例えば基礎練習やバッキングのパターン、ギターアレンジやソロギターの練習などにも共通している部分があると思うので、参考にしてみて下さい。
①もとのフレーズを知る
第一段階として、コピーしたフレーズを原曲のニュアンスに近づけることが考えられます。
完コピは追及するとキリがありませんが、やればやるほど原曲の奥深い部分が分かってくるものです。
まずコピーしたフレーズが「そもそも合ってるかを確認」してみると、意外と間違って覚えていることがあります。
これは原曲の音源を流しながら、自分のギターを重ねて弾いてみると分かりやすいです。
リズムが違っていればズレで、音程が違っていたら微妙なうねりで判断できます。
音源に合わせて弾くのが難しいフレーズは、音源側のテンポを落とすと確認が楽です。
リズムや音程が大丈夫そうなら「音色を変えてみる」のはどうでしょうか。
原曲で使われているギターと同じ種類のものを用意するのは難しくても、エフェクトのかけ具合やピックアップの選択(フロント?リア?ハーフトーン?)などは検討が容易です。
機材のセッティングだけではなく、ピッキングする位置や角度も色々と考えられます。
音色と同様に「各音の大小や強弱を変える」のも、基本的ながら奥が深いテーマです。
どの音にアクセントが付いているのか、どの音が小さいのか、フレーズ全体でクレッシェンドなのかデクレッシェンドなのかなど、様々考えられます。
原曲に近いニュアンスを出すにはどうすれば良いか、逆に原曲と異なるニュアンスで弾くとどうなるのか・・弾き方だけでもフレーズの表情を変えることができます。
今回はソロフレーズをコピーしましたが「バッキングもコピーする」と、応用の幅が広がります。
コード進行やスケールをアナライズできれば良いですが、そうでなくてもどのキーのどのコードの、どのようなバッキングの上で弾かれたフレーズかを知っておくだけでも、別のシチュエーションでフレーズを使う時のヒントになります。
自分で弾いたバッキングを録音/再生したりルーパーでループさせて、その上でフレーズを弾くのも良い練習になります。
原曲に合わせて弾くのも良いですが、バッキングだけでソロのお手本がない状態だと、弾けてる/弾けてないをしっかり判断することが可能です。
②少し変えてみる
コピーしたフレーズの基本的な所が分かったら、第二段階としてフレーズを少し変化させてみます。
まず「違うポジションで弾く」のは、複数の点で有益な練習方法です。
例えばよく使うペンタトニックのポジションの近くで弾けるように練習をしておけば、従来のフレーズと自然に繋げやすくなります。
また、2つ以上のポジションで弾くことで、度数やコードとの関係などがより多面的に見えてくるようになります。
次に「オクターブを変えて弾く」のは、シンプルながらうま味のある発展のさせかたです。
コピーしたフレーズのポジションにもよりますが、12フレット上げるか下げて同じ運指をするだけで弾ける可能性があります。
もちろん運指を変更しないといけない場合もありますが、どちらにせよフレーズのオクターブを変えるだけで、原曲と結構違う印象になってきます。
低音弦のフレーズをオクターブ上げて高音弦で弾くとチョーキングが使えようになるなど、表現の選択肢が増える場合もあります。
さらに「違うキーで弾く」ことも、フレーズを自分のものにするために大事です。
例えば半音違うキーなら1フレットずらして弾けばOKですが、6フレットずらさないといけないとかになると、まともに弾けるポジションではなくなってくるかもしれません。
前述の「違うポジションで弾く」と組み合わせて、良く出てくるキーでだけでも弾けるように練習しておくと後々役に立ちます。
フレーズの「テンポを変える」のも良いかもしれません。
テンポを上げると物凄くトリッキーに聴こえたり、テンポを下げると意外と味わいのあるニュアンスになったり、フレーズの印象が変わる場合があります。
同じように「リズムを変える」ことも考えられます。
例えばブルースやジャズのソロで応用したいなら、イーブンだったフレーズを跳ねて弾いてみる練習が重要になってきます。
「演奏テクニックを変える」のも忘れてはいけません。
すべての音をピッキングするのか、ハンマリングオンやプリングオフを使うのか、チョーキングするのかスライドするのか・・ギターでは様々な表現方法が選択できます。
そのフレーズが最もよく聴こえるような組み合わせが望ましいですが、同じフレーズでもどのポジションで弾くかで最適なテクニックが変わってくる場合もあります。
③まあまあ変えてみる
最後に第三段階として、フレーズをまあまあ変えることにトライしてみます。
比較的やりやすいのは「譜割りを変える」ことです。
イメージとして、ドーレミーというフレーズをドレーミーに変えるような感じです。
音の並びは変わっていませんが、別のフレーズと言えそうなくらい印象が変わってきます。
もちろん「音列を変える」ことでもフレーズを発展させられます。
ドレミソラーをドミレソラーのように順番を変えてみるのも良いですし、最後にラに行かずにドレミソミーとするなど、一部の音だけ変えるのも良い感じです。
これを応用すると、コピーしたフレーズと音列を変えたフレーズを組み合わせて
ドレミソラードレミソミー
ともとの2倍の長さのフレーズができます。
モチーフが同じなので繋がりも良く、非常に有効な発展のさせ方ではないでしょうか。
最後は「音を重ねる」方法です。
コピーしたフレーズが単音の場合、強調したい部分にコードトーンを混ぜたり、オクターブ奏法で弾いたりして音を重ねることができます。
同時に2つ以上の音を出さなくても、例えばドーレミーというもとのフレーズから、ミーファソーというハモリフレーズを導くような発展のさせ方もできます。
まとめ
練習の発展のさせ方のヒントをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
まだまだ方法はたくさんあると思いますが、今回出てきたものを組み合わせるだけでも物凄いパターン数になるかと思います。
全部やってみるというよりは、自分の目的に合ったものや自分に足りないものなどに絞ってトライするのが良さそうです。
今回のブログを書いていて、凄いギタリストはこういったことを自然にやっていたり、意識していたとしても楽しんでやってたりする人なのかなと感じました。
たとえそんな風にはできなくても、地道にコツコツと同じ道をたどれば、同じような場所に行くことができるかもしれません・・。
今後もこういった言葉にし辛い部分をまとめてブログに残していこうと思うので、ぜひ一緒に頑張って行きましょう!