
ギターをやっていて最もテンションが下がる瞬間の1つが、大切なギターが壊れたり傷ついたりすることではないでしょうか。そんな不幸を少しでも減らせるように、起こる「かもしれない」事故のシチュエーションを考えてみたいと思います。
ギターの事故で一番多いのは、立てかけていたギターが倒れることかもしれません。
イスや壁に立てかけたギターはしっかり自立しているようで、かなり不安定な状態で静止しています。
少し当たっただけでバランスが崩れ、ものすごい勢いでヘッドから倒れていく・・。
ギター本体に傷がついたり弦が切れたりするのはもちろん、最悪の場合はネックが折れてしまうこともある最悪な事故です。
かと言って、ギターを床に寝かしておくのが安全という訳でもありません。
人が寝ているのと同じ無防備な状態で、誰かに踏まれるかもしれませんし、上から何か物を落としてしまうかもしれません。
誰もいない場所だとしても、地震で棚が倒れてくるかもしれませんし、照明が落ちてくるかもしれません。
重力が作用する方向(上下)から見たギターの面積が大きくなるので、立てかけているのとはまた別の危険がいっぱいです。
一時的にギターを立てておくのにギタースタンドを使う人は多いと思いますが、油断は禁物です。
ストッパーがないと何かの拍子にギターが倒れてしまう可能性が残っていますし、スタンド自体が倒れてしまうかもしれません。
ただ、ギターやスタンドが倒れやすい方向はあらかじめ予測できるので、万一の時のために脳内シミュレーションしておくと、もしもの時に被害が小さく抑えられます。
例えば自宅のギタースタンドからギターが倒れる方向には、エフェクター等の固いものを置かずに、ソファーなどのクッションになるものを配置しておくことができます。
それだけで倒れた時の保険になりますし、精神衛生上も良いですね。
次に意外と多いのが、立って弾いている時にギターが落下する事故です。
これはストラップ自体が切れるというよりは、ストラップがねじれていたり、きちんとストラップがピンにはまっておらずに、外れてしまって落下するケースがほとんどです。
ギターを弾く構えをしていたら、ストラップが外れてもとっさに受け止められるかもしれませんが、手放しでギターがブラブラした状態ならそのまま地面に急降下してしまいます。
この事故は自宅ではなく外出先、特に本番の演奏前の準備などでよく起こるイメージです。
おそらく緊張やこれからの演奏のことで頭がいっぱいになり、ストラップがきちんとなっているかを確認する余裕がなくなるからだと思います。
ただでさえショックな事故なのに、それが本番前に起こったとなると頭が真っ白になってしいますね・・。
私は実際に、とあるライブで女の子のシンガーソングライターがこの事故を起こした瞬間を目撃しました。
その時はギター本体(エレアコ)は何とか大丈夫だったのですが、プリアンプのユニットがゴッソリ外れてボディーの中を彷徨っている状態になっていました。
不幸中の幸いだったと思いますが、落下の衝撃の大きさが良く分かる事例だと思います(ライブ自体は会場にあった予備のギターを使って無事行われました。凄いメンタルだと思います!)。
それ以来、立っている時はギターから手を離さないように気を付けるようになりました。
基本的にどちらかの手でギターを支えるようにし、どうしても両手を使わないといけない時は座るか、腕や脇でギターを抱え込むようにしています。
とは言え、ライブパフォーマンスの都合だったりでそんな悠長なことを言ってられない人もいると思います。
普段からストラップの状態に気を配ったり、ロックピンを付けて外れにくい状況にしておき、起こるかもしれない落下事故に備えておきたいですね。
そのストラップ付きのギターを体から外そうとした時に、ギターを家具や壁に当ててしまう事例もあります。
ギターを置いて他のことをしようとした時に、ゴツン!とやってしまう感じです。
演奏中と違って弾き終わった後は気を抜いていることが多いので、事故が起こる確率が高くなります。
体の大きな人だと、ギターを置こうと上に持ち上げた時に天井に当たることもあります。
なんせ掲げた腕とネックの長さを合わせたら3m近くになるので、当たっても不思議ではありません。
車を運転している時に車幅などを意識している様に、ギターと自分を合わせてどれくらいの大きさになっているかを、把握しておかないとダメですね。
そういう意味では、ギターを持って自転車で移動する時も要注意です。
対向車がきて端の方に寄った時などに、電柱にギターをゴンッ!と当ててしまう事故を、私は何回かやってしまってます・・(幸いケースのクッションのおかげで大事には至っていません)。
これも車と同様、「かもしれない」運転をする必要がありますね。
ここまでは結構重たい事故でしたが、軽めのも忘れてはいけません。
例えば服のボタンや腕時計が当たってギターが傷付くこともあります。
特にベルトでついた傷はバックル傷という固有名詞があるくらい、目立った痕が残ることがあります
そういえばヴィンテージギターを扱うお店で試奏する時に、傷がつかないように試奏用のエプロンを付けないといけないこともあるそうです。
普通に演奏している時は大丈夫でも、思わぬ時に思わぬものが当たってしまうものです。
自分が身に付けているものがギターがぶつかったらどうなるのか?
どういった動きをしたらぶつかる可能性があるのか?
考えておいて損はありません!
これも本番などの余裕がない時に起こりやすいので、実際のステージ衣装を着て行う「ドレスリハーサル」も非常に有効だと思います。
以上、大小いくつかの事故の可能性を見てきましたが、あまりに事故を恐れ過ぎてギターをずっとハードケースの中にしまっておいたのでは、元も子もありません。
特に売却を考えておらず弾き倒すつもりのギターは、ガンガン弾いてあげるのがベストだと思います。
大きな事故に遭うことことなく、気付かない内に細かい傷や汚れがついて貫録が出てきたギター・・ギタリストにとって一番幸せなのは、そういうギターをずっと弾き続けることなのかもしれません。