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ギターの単音弾き(ソロ)が苦手な人が多い理由

ギターのコードを覚えて、ジャカジャカ伴奏して楽しんでいる人は世界中にたくさんいます。このことは、ギターが他の楽器に比べて習得が容易なことの証明だと思います。一方、ギターでメロディーを単音弾きする人は少ない印象です。これは一体何故なのでしょうか?

ギターは伴奏もソロもこなすことができる、数少ない楽器の1つです。

 

コードバッキングだけで十分なジャンルもありますが、ソロもやらないとちょっと勿体ない気がします。

 

そもそも、色んな形のコードフォームが押えられるのに、単音のソロが弾けないのは少し不思議です。

 

今回はその理由をできるだけ挙げて、逆に単音弾きができるようになるには何が必要なのかを考えてみたいと思います。

右手側の理由

 

ここから、右手側(ピッキングする側)、左手側(押弦する側)、その他の3種類に分けて、それぞれ細かく見ていきます。

 

まずは右手側ですが、6本の弦の内1本だけを弾く必要があることが単音弾きの難しさの1つではないでしょうか。

 

コードバッキングの時は、複数の弦を鳴らしていることが多いです。

 

右手は大まかに弦を捉えていれば良く、例え少しピッキングする位置がずれて弦が1本鳴らなかったとしても、大きな問題にはなりません。

 

 

 

一方、単音弾きの場合はピンポイントで目的の弦をピッキングしないといけません。

 

1つでも隣の弦を弾いてしまうと、メロディーが途切れて台無しになってしまいます。

 

ギターの弦の間隔は1cmくらいのものなので、的確に狙うには細かいコントロールが必要で、結構難しいです。

 

 

 

さらに、1つの弦をずっと弾いていることは少なく、所々で弾く弦が変わっていきます。

 

音程が跳躍する時には、1弦飛ばして2つ隣の弦にいったりすることもあり、こうなるともう手に負えません。

 

右手を見ながら演奏することも考えられますが、多くの著名なギタリストがそうであるように、ポジションが大きく変わる左手の方に視線をやった方が効率が良いです。

 

 

 

ということは逆に、目で追わずとも狙った弦を弾けるようにすれば良いと言えそうです。

 

演奏フォームがきっちりしていれば、右手の腕や手首の角度から、弦とピックの位置関係がおおよそ決まってきます。

 

さらに手首が弦に触れたり、ピックを保持している以外の指がボディに触れたりすることがセンサーの役割を果たして、ピッキング位置をさらに補正することができます。

 

力任せにヤマ勘でかき鳴らせるのもギターの魅力ですが、地道にピッキングの基準を作っていくことで、単音弾きも可能な右手の精度が出てくるのではないかと思います。

 

弾く弦をコントロールできると、コードバッキングにも良い影響が返ってくるので、これはやってみるしかありません!

 

右手側の2つ目の理由としては、単音弾きのリズムが一定ではないことが挙げられます。

 

コードバッキングは一定のリズムを繰り返して弾くことが多いですが、メロディーを弾く時は細かく音が詰まっている部分があったり、休符で音を出してはいけない部分があったりで、均一でないことが多いです。

 

弾きたいメロディーのリズムを正確に把握しておかないとズレた演奏になってしまい、そのズレがさらにズレを生む結果になってしまいます。

 

 

 

普段ギターで有名曲のカバーをやっていて思うのが、聴き慣れたメロディーを頭で把握しているつもりでも、実際に弾いてみるとリズムがあいまいな所が多いということです。

 

もとのメロディーを良く聴いて、ギターで弾く前に歌ってみたりして、リズムのあいまいな部分をなくす必要があります。

 

また、複雑なリズムで弾くには、まず一定のリズムが刻めないとダメなことは直観的に分かります。

 

一定のリズムをキープする基礎練習などで右手を強化するのも、大事になってきそうです。

左手側

 

続いて左手側(押弦する側)に着目します。

 

コードバッキングの時はコードフォームを覚えておかないといけませんが、単音弾きではそれに相当するスケールポジションを把握していないといけません。

 

これは、ピアノやキーボード、鍵盤ハーモニカなどの鍵盤をイメージすると分かりやすいです。

 

 

 

キーがCメジャー(ハ長調)であれば、大抵の人がドレミファソラシドの位置が分かると思いますが、これは白鍵だけを使うことを知っていて、さらにドがどこにあるかも分かっているためです。

 

基本の音階(スケール)が分かっていることで、ドレミから少し外れたように聴こえる音は、黒鍵を使うんだなということも付随的に分かります。

 

ピアノを弾く技術がなくても簡単な曲を耳コピして弾けたりするのは、この辺りが大きいのではないでしょうか。

 

 

 

ギターは白鍵と黒鍵に分かれている訳ではないので、整然と並んだ弦とフレットの中から、基準となるスケールを自分自身で認識しないといけません。

 

これは、スケールを知らないと単音弾きが難しくなるということですが、逆にスケールを知ることで一気に難易度を下げられると言えるかもしれません。

 

幸いギターはポジションを平行移動するだけでキーが変えられるので、せっかく覚えたのにCメジャーキーしか弾けない!ということもありません。

 

メジャースケールを1つのポジションで覚えるだけでも、ガラッと世界が変わるはずです。

 

さらに、右手の弾く弦のコントロールと同様に、スケールで覚えたことをコードバッキングに反映させることができるので、一石二鳥です。

 

左手側の2つ目の理由としては、押えるポジションが次から次へと変化することが挙げられます。

 

これは、1小節かそれ以上同じ押え方をしていることの多いコードバッキングと違い、メロディーは音程が変化することが多いためです。

 

さらに、右手側で出てきたリズムの変化にも対応しないといけないため、押弦する左手の動きはかなり複雑なものになります。

 

 

 

この辺りは、様々な動きを練習して少しずつ自然にできることを増やしていくのが定石です。

 

まずは指がバタつかないように気を付けて、ゆっくりのテンポから基礎練習を開始します。

 

その後はスケールを1音ずつ上昇したり下降したり、3度ずつ飛ばして弾いたり、途中でポジションを移動したりと、様々な応用パターンにも取り組んでいきます。

 

実際のメロディーを弾くのも大事だと思いますが、機械的に様々なパターンの音程や運指(筋肉の動かし方)を体に染み込ませておくことも大事だと思います。

その他

 

右手および左手に関係することの他に単音弾きが難しい理由として、そもそも単音弾きをする機会が少ないことがあります。

 

これは、試験や受験などでいくら一生懸命勉強したことでも、しばらく使わなかったら忘れてしまうのと同じ現象ではないでしょうか・・。

 

楽器の場合はソロを取るよりもバッキングをしていることの方が圧倒的に多いので、なかなか単音弾きに慣れないのも無理はありません。

 

 

 

もちろんバッキングは大事ですが、単音弾きの機会を自分で増やすようにするのが良いかもしれません。

 

弾き語りのように単音弾きの必要性がなさそうなジャンルでも、歌メロの音程を確認するとか、ちょっとしたオブリガードを挿入するとかで、使う機会を増やすことはできるはずです。

 

本格的なソロは他の人に弾いてもらうよ!なんて人でも、頭の中の音を少しでも自分で表現できた方が、スムーズに意思疎通が可能になります。

 

 

 

単音弾きにはバッキングが欠かせませんが、今時スマホでも簡単に録音できるので利用しない手はありません。

 

とにかくコードバッキングを録音して、それに単音弾きを重ねて弾いてみる・・。

 

バッキングに合わせて弾くと、単音弾きのメロディーがずれているなどの他に、コードバッキング側のボリュームが大きくてやかましかったり、音がぶつかって濁ってしまったりと、意外な発見も出てきます。

 

 

 

有名な曲であれば、マイナスワン(カラオケ)の音源もネット上にたくさんあがっているので、どんどん使わせてもらいましょう!

 

もちろん、実際に誰か他の人にバッキングをしてもらっても良いですね。

 

生身の人間は同じ曲を同じアレンジで演奏しても"揺れ"があるので、録音されたバッキングとは異なる楽しさがあります。

 

歌本で流行りの曲を探して、コードバッキングと単音弾きを分担して弾く・・それだけでも十分に練習になるだけでなく、立派なセッションとも言えるのではないかと思います。

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